臨床神経学
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葛根湯加川きゅう辛夷が誘因と考えられたReversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)の1例
市來 征仁渡邊 修岡本 裕嗣池田 賢一高嶋 博有村 公良
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2008 年 48 巻 4 号 p. 267-270

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抄録

症例は51歳女性である.排便中に1回,入浴中に2回,のたうち回る激しい頭痛が突然に出現した.2回目の頭痛消退後,痙攣発作を呈した.頭部CT,くりかえし施行した髄液検査でくも膜下出血は否定された.頭部MRIで両側後頭葉・両側頭頂葉に拡散強調画像およびFLAIR画像で高信号域をみとめた.脳血管造影でびまん性分節状攣縮をみとめた.三回目の頭痛以降,無症状で,また4カ月後の脳血管造影では,異常は消失しており,Reversible cerebral vasoconstriction syndromeと診断した.発症誘因として,強力な鼻腔鬱血除去作用のある葛根湯加川きゅう辛夷の関与が考えられた.本例は,漢方薬が誘因と考えられた最初の報告である.

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© 2008 日本神経学会
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