臨床神経学
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短報
血清・髄液中抗グルタミン酸受容体抗体陽性が診断を混乱させたglioblastomaの1例
六反田 拓稲富 雄一郎米原 敏郎高橋 幸利平野 照之内野 誠
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2008 年 48 巻 7 号 p. 497-500

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抄録

53歳の男性例を報告する.意識消失や地誌的障害の発作が計4回出現した.初発3カ月後の抗グルタミン酸受容体抗体(抗GluR抗体)が髄液IgGε2,血清IgMε2で陽性であり,臨床症状と合わせて辺縁系脳炎がうたがわれた.頭部MRIではT2強調画像とFLAIRで脳梁膨大部から側頭葉内側白質にかけて高信号を呈し,側脳室周囲白質では,その一部が拡散強調像で高信号を呈し,Gd-DTPAで淡く増強される病変をみとめた.発症4カ月後には右手の感覚障害も出現し,血清IgGε2が陽性となった.MRIで後角周囲白質病変はより強いリング上増強像を呈し,脳生検にてglioblastomaと診断された.

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© 2008 日本神経学会
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