2010 年 50 巻 11 号 p. 931-934
遺伝性痙性対麻痺(Hereditary Spastic Paraplegia:HSP)は下肢の痙縮と筋力低下を呈する神経変性疾患群であり,現在,SPG1~48の遺伝子座と20を越える原因遺伝子が同定されている.HSPは同じ病型でも家系内・家系間で多彩な臨床像を呈することや,逆にことなる病型でもよく似た臨床像を呈することが知られており,臨床像のみでHSPの病型診断をおこなうのはきわめて困難である.全国多施設共同研究体制であるJapan Spastic Paraplegia Research Consortium(JASPAC)では,HSPの網羅的な遺伝子診断サービスを提供している.今後,JASPACにより,本邦HSPの分子疫学と分子病態が明らかにされ,治療法開発へと向かうことが期待される.