2013 年 53 巻 9 号 p. 701-705
症例は35歳男性である.構音障害,中枢性左顔面神経麻痺,左片麻痺が急性に進行した.28歳時に後天性免疫不全症候群(AIDS)を発病し,35歳時に抗ヒト免疫不全ウイルス(HIV)療法が導入された.頭部MRIで右放線冠から内包後脚にかけて急性期脳梗塞と,脳血管造影で右Heubner動脈末梢に囊状動脈瘤をみとめた.髄液の帯状疱疹ウイルス(VZV)IgG抗体価とVZV抗体価指数の高値からVZV再活性化の関与を考え,脳梗塞急性期治療に加えアシクロビルを開始し,神経症状は改善した.AIDSに合併した脳梗塞の報告は本邦では少なく,その発症機序としてVZV再活性化が重要であり報告する.