臨床神経学
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短報
卵巣奇形腫を合併し抗NMDA受容体抗体陽性のglioblastomaの1例
藤井 裕樹久保 智司柚木 太淳佐藤 恒太高松 和弘田中 惠子高橋 幸利栗山 勝
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2013 年 53 巻 9 号 p. 712-715

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抄録

症例は54歳女性である.痙攣発作をともなう意識障害を呈し,頭部MRI T2,FLAIR強調像にて右側頭葉内側に高信号をみとめ,卵巣奇形腫を合併していた.グルタミン酸受容体(GluR)ε2,δ2に対する抗体が陽性で,NMDARヘテロマー(NR1+NR2)抗体も陽性であり,抗NMDA受容体脳炎をうたがった.卵巣奇形腫の摘出をおこない,経過をみていたところ,発症約6ヵ月後に右側頭葉にglioblastomaが明らかとなった.卵巣奇形腫を合併し,GluR抗体および複合体抗体陽性でglioblastomaの症例の報告はない.本抗体が陽性であっても,経時的に注意深く経過をみることが重要である貴重な教訓的症例であった.

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© 2013 日本神経学会
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