2014 年 54 巻 3 号 p. 195-199
症例は44歳女性である.両下肢不全麻痺,両下肢および右体幹部の異常感覚をみとめ,第4~10胸椎レベルにわたる長大な病変の抗アクアポリン4(Aquaporin-4; AQP4)抗体陽性脊髄炎を呈した.加えて本例は,Helicobacter pylori(H. pylori)菌感染をともなった特発性血小板減少性紫斑病(immune thrombocytopenic purpura; ITP)を合併していた.治療としてステロイド療法にて脊髄炎の改善をみとめた.さらに,H. pylori菌の除菌療法を加えたところ,血小板数の増加,抗AQP4抗体価の低下をみとめ,異常感覚も改善し良好な経過が継続している.ITPおよび脊髄炎の経過にH. pylori菌の関与が示唆された.