臨床神経学
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症例報告
過眠を主症状とし,脳幹,視床下部のposterior reversible encephalopathy syndromeを呈したuremic encephalopathyの1例
志賀 裕二金谷 雄平河野 龍平竹島 慎一下江 豊栗山 勝
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2016 年 56 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

症例は73歳,女性.主訴は過眠症状と食欲不振.糖尿病性腎症の加療中で透析は未導入.高血圧は治療中で安定し変動はない.神経学的他覚所見異常なし.クレアチン3.7 mg/dlの腎不全で,軽度の低Naと低K血症を認めた.頭部MRI画像で中脳背側,視床内側,視床下部に血管浮腫性のposterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)を認めた.電解質と脱水の補正を行い,症状とMRI病変は改善したが,MRI病変は3ヵ月後も残存した.髄液オレキシンが低値を示し,半年後に改善した.非典型の脳幹型PRESを示し,視床下部を障害した尿毒症性脳症と考えられた.

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© 2016 日本神経学会
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