2017 年 56 巻 5 号 p. 203-209
目的 : 口腔細胞診における SIL 症例を従来のパパニコロウ分類と 3 段階分類法と比較し, SIL 症例の取扱いを明らかにすること.
方法 : 2007 年 6 月 1 日~2014 年 9 月 30 日に当科にてベセスダシステムで判定した 1867 例を対象とした. また, 従来のパパニコロウ分類と 3 段階分類を併せ行った. Class Ⅲ症例を “癌が疑われる異型細胞” とし, LSIL を Subclass Ⅱ-Ⅲ, HSIL を Subclass Ⅲ, Subclass Ⅲ-Ⅳに細分類した.
成績 : NILM 1298 例, LSIL 158 例, HSIL 267 例, SCC 132 例, 検体不適正 12 例であった. 3 段階評価では, 陰性 1298 例, 疑陽性 425 例, 陽性 132 例であった. 全 SIL 症例中 186 例に対して病理組織検査が行われ, 扁平上皮癌が LSIL の 29.3%, HSIL の 53.1%にみられた.
結論 : SIL 症例に悪性症例が検出されたことから, 病理組織検査の必要性が示唆された. また, 今後 NILM と SIL, さらに LSIL と HSIL を明確に区別する詳細な診断基準の検討が必要であると思われた.