日本消化器外科学会雑誌
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食道癌の予後と性差の関連について
塩崎 均小川 嘉誉小林 研二矢野 外喜治井上 雅智窪田 剛今本 治彦山田 毅森 武貞
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1985 年 18 巻 9 号 p. 1967-1972

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抄録

食道癌には発生率ばかりでなく術後の予後にも性差がみられる. この差を生じさせている要因につき検討した. 対象は昭和44年から57年までに大阪大学第2外科で切除された食道癌194例 (男151例, 女43例) である. 性別の累積5年生存率 (以下5生率) は男21.7%, 女49.3%である. stage別に5生率をみるとstage IIIで男20.5%, 女82.6%と最も大きな性差を生じていた. a, n, ly因子別にみても, a1+2, n2, ly1と, ある程度進行した状態で5生率に最も大きな性差がみられた.また, a2, n2, ly1の症例では癌先進部リンパ球浸潤の非常に多い症例が女性に多く, 生存率に性差を生じさせている要因として, 癌に対する生体反応が男女で異なることが考えられた.

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