日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
異時性肝転移に対し肝切除を施行した長期無再発生存中の早期胃小細胞癌の1例
黄 哲守高山 亘西森 孝典角田 慎輔柳橋 浩男小林 進菅谷 睦
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2013 年 46 巻 1 号 p. 16-24

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抄録

 早期胃癌術後半年で肝転移を来し,肝切除を施行した胃小細胞型内分泌細胞癌(以下,胃小細胞癌と略記)の1例を経験したので報告する.症例は79歳男性で2005年10月に早期胃癌の診断にて胃全摘術施行.術後病理組織学的検査でneuroendocrineの性格を持つ胃小細胞癌と診断された.胃全摘から6か月経過した2006年4月CA19-9が急激に上昇.CTにて肝S4に直径4 cm大の造影効果を伴った腫瘤性陰影を認めた.その後施行された血管造影検査にても同様に肝S4に腫瘍濃染を認めたため胃小細胞癌による肝転移と診断.他区域,他臓器に転移を認めなかったことから,治癒切除可能と判断し肝内側区域切除術を施行した.病理組織学的検査結果も胃小細胞癌の肝転移を診断された.その後,化学療法は施行せず外来にてフォロー中であるが,胃切除後6年5か月,肝切除後5年10か月経過した現在,無再発生存中である.

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