2014 年 47 巻 9 号 p. 499-507
造影効果のある壁在結節を有する肝囊胞は,粘液性囊胞性腫瘍との鑑別が困難とされている.今回,我々はdynamic studyで壁在結節が特徴的な造影パターンを呈した出血性肝囊胞の3切除例を経験した.いずれも,MRI T1強調像高信号の囊胞内容,T2 star強調像での壁在結節内部の著明な低信号域,壁在結節の超音波,MRI所見とCT所見との乖離を認め,出血性肝囊胞を示唆する所見であったが,壁在結節内部にdynamic study早期相での点状濃染と後期相における造影範囲の遅延性拡大を認めた.粘液性囊胞性腫瘍の可能性を否定できず手術を施行したが,病理組織学的検査では3例とも壁在結節は凝血塊成分と新生血管の増生を伴う肉芽組織で構成されていた.Dynamic studyにおける所見は,肉芽組織内の新生血管から周囲間質への造影剤移行を反映したものと考えられ,本疾患に特徴的な所見である可能性が示唆された.