日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
Dynamic studyにて特徴的な造影所見を呈した出血性肝囊胞の3例
酒井 宏司小林 聡清水 明横山 隆秀本山 博章古澤 徳彦野竹 剛山田 哲小林 実喜子宮川 眞一
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2014 年 47 巻 9 号 p. 499-507

詳細
抄録

 造影効果のある壁在結節を有する肝囊胞は,粘液性囊胞性腫瘍との鑑別が困難とされている.今回,我々はdynamic studyで壁在結節が特徴的な造影パターンを呈した出血性肝囊胞の3切除例を経験した.いずれも,MRI T1強調像高信号の囊胞内容,T2 star強調像での壁在結節内部の著明な低信号域,壁在結節の超音波,MRI所見とCT所見との乖離を認め,出血性肝囊胞を示唆する所見であったが,壁在結節内部にdynamic study早期相での点状濃染と後期相における造影範囲の遅延性拡大を認めた.粘液性囊胞性腫瘍の可能性を否定できず手術を施行したが,病理組織学的検査では3例とも壁在結節は凝血塊成分と新生血管の増生を伴う肉芽組織で構成されていた.Dynamic studyにおける所見は,肉芽組織内の新生血管から周囲間質への造影剤移行を反映したものと考えられ,本疾患に特徴的な所見である可能性が示唆された.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top