2015 年 48 巻 4 号 p. 337-343
症例は72歳の男性で,肝細胞癌術後の経過観察中,CTで膵体尾部に20×10 mmの乏血性の腫瘍を認めた.腹部エコーでは血流を認め,超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診で腺癌とneuroendocrine tumor(NET)のmixed typeの診断となり,膵体尾部切除を施行した.病理組織学的に分枝膵管内に進展する2.5 cmの白色充実性病変の中に,類円形に腫大した粗造なクロマチンを有する腫瘍細胞の髄様の増殖が見られた.腺管構造と粘液産生が見られductal cell carcinomaを認める一方,免疫染色検査では腫瘍の約1/3にchromogranin A(+),synaptophysin(+),CD56(+)の神経内分泌細胞の発現を認め,mixed ductal-neuroendocrine carcinomaの診断となった.本症例は非常にまれであり報告する.