日本消化器外科学会雑誌
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骨転移部位により特異な臨床症状を呈した再発肝細胞癌の3例
河野 哲夫山本 正之飯塚 秀彦三浦 和夫吉岡 正和菅原 克彦
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1990 年 23 巻 7 号 p. 1887-1891

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抄録

肝切除術後に骨転移部位に関連して特有の臨床症状を呈して発見された再発肝細胞癌の3例を, 若干の文献的考察を加えて報告する.
症例1: 58歳男性, 術後2年3か月目にC4以下の神経支配領域の対称性知覚鈍麻, 四肢の運動麻痺, 膀胱直腸障害が認められ脊髄横断症状を呈した.Magnetic resonance imagingで第4頸椎の棘突起から左椎弓にかけての腫瘍陰影と脊髄の右方偏位が認められ, 肝細胞癌の頸椎転移と診断した.症例2: 53歳男性, 術後6か月目に突然左胸部痛, 呼吸困難が出現した.血胸を認め, Computed tomogra-phyにより左第3肋骨に連続する腫瘍陰影を認めたことより, 肋骨転移巣破裂による胸腔内出血と診断した.Transcatheter arterial embolizationにより止血し一時的に症状は緩解した.症例3: 61歳男性, 術後6か月目に止血困難な鼻出血が出現した.生検の結果, 肝細胞癌の鼻中隔, 鼻腔粘膜転移が強く疑われ, 右外頸動脈結紮術が行われたが, 止血しえず死亡した.

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