日本消化器外科学会雑誌
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肝硬化性血管腫の1切除例
飯田 洋也丹後 泰久蔦本 慶裕張村 貴紀田中 研次高尾 貴史湯澤 浩之島袋 誠守草野 敏臣入江 康司
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2006 年 39 巻 9 号 p. 1493-1497

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抄録

症例は77歳の女性で, 心窩部不快感を主訴に近医受診し, 上部消化管内視鏡検査にて胃体中部前壁に壁外からの圧迫所見を認め当院紹介受診となった. 腹部超音波検査にて, 肝左葉外側区域(S2)に39×30mmの等から高エコー腫瘤を認めた. 腹部造影CTでは, 同部の辺縁部から内部に向けて, 不均一な造影効果を認めた. 腹部MRIではT1強調像で低信号, T2強調像で高信号, dynamic studyにて内部が不均一に造影された. その他, 消化管精査で異常はなかった.第1に海綿状血管腫を疑ったが, 画像所見上, 肝内胆管癌, 転移性肝癌などとの鑑別は困難であった. 平成16年7月, 腹腔鏡補助下肝部分切除術を施行した. 病理組織学的検査では線維性結合組織と海綿状血管腫が混在し, 肝硬化性血管腫と診断した. 肝硬化性血管腫の報告はまれであり, 検索しえたかぎり9例を認めるのみであった.

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