日本消化器外科学会雑誌
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特異な肝外発育形態を呈した肝尾状葉 (Spiegel's lobe) 原発肝細胞癌破裂の1例
川畑 康成矢野 誠司楠本 長正宮本 勝文稲尾 瞳子西 健平原 典幸板倉 正幸田中 恒夫
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2007 年 40 巻 9 号 p. 1599-1604

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抄録

症例は67歳の男性で, 突然の上腹部痛にて来院した. 緊急腹部CTでは, 肝尾状葉に原発した肝細胞癌とその破裂による腹腔内出血が疑われた. Vital signは安定していたため, 保存的治療を選択した. 他の画像検査で, 腫瘤はSpiegel's lobeと連続, 肝外性に発育し, 総肝動脈から固有肝動脈を巻き込み, 門脈を右方に圧排していた. Spiegel's lobe原発肝細胞癌の破裂と診断し待機手術を施行した. 開腹検査所見は術前診断と同様であり, 巻き込まれていた総肝動脈, 固有肝動脈を剥離し腫瘍を茎基部で切離して摘出した. 病理組織学的診断は, 8×5.5×4cm, 64g, 中分化型肝細胞癌で, 茎基部に出血巣を認めた. 肝尾状葉に原発した肝細胞癌破裂の本邦報告は12例と少なく, いずれもSpiegel's lobeであった. また, 肝外発育型肝細胞癌の茎基部が破綻し出血を来した報告もまれであった.

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