日本消化器外科学会雑誌
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癌性腹膜炎を伴う胃原発異所性膵癌の1例
木村 準加治 正英山本 精一前田 基一薮下 和久小西 孝司阿保 斉内山 明央三輪 淳夫
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2008 年 41 巻 4 号 p. 399-405

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抄録

症例は31歳の女性で, 主訴は心窩部痛であった. 上部消化管造影X線, 胃内視鏡検査にて幽門輪の狭窄が認められ, 生検を施行したが悪性細胞は認められなかった. 腫瘍マーカーはCA19-9 660U/ml, CA125 40.8U/mlと高値であり, CEAは0.5ng/mlと正常であった. CTにて幽門輪の壁肥厚, 中等量の腹水が認められ, 診断・治療目的で開腹術を施行した. 開腹すると幽門輪に5.0×2.0cm大で, 全周性の粘膜下腫瘍が存在しており, 腹膜播種を多数認めた. 幽門輪の狭窄を解除するため, 姑息的に幽門側胃切除術を施行した. 組織学的にHeinlich II型の胃原発異所性膵癌の診断が得られた. 術後, MRIを見直してみると膵管と思われる構造物が幽門輪に認められており, 異所性膵の診断にMRIが有用な検査である可能性が示唆された.

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