体外循環技術
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ヘパリンコーティング回路長期使用における血中ヘパリン遊離に関する実験的検討
―共有結合とイオン結合のin vitro比較―
松尾 光則北田 博市飯田 弘美岡本 保
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2000 年 27 巻 2 号 p. 57-59

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抄録

【要旨】現在臨床で使用されているヘパリンコーティング回路は,共有結合方式とイオン結合方式に大別できる。結合方式の違いは,ヘパリンの結合力の強度にあるとされ,臨床では長時間の体外循環使用によって差があるとされる。今回の研究は,結合方式の違いによる血中ヘパリン遊離と凝固因子に注目し,24時間にわたりin vitroで比較を行った。その結果,共有結合回路は初期に微量のヘパリンの遊離はあるものの安定した結合力を持つことが確認できた。これに対し,イオン結合回路は当初予測していた長時間の遊離ではなく,約3時間程度で含有しているほとんどのヘパリンが遊離する結果となり,短時間の使用においても耐久性に劣った。ヘパリンコーティング方式の違いによる臨床的な格差は少ないとされてきたが,ヘパリン遊離に関しては明確な有意差を認めた。

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© 日本体外循環技術医学会
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