脳神経外科ジャーナル
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虚血症状で発症し, その後クモ膜下出血をきたした椎骨動脈解離性脳動脈瘤の1例
松重 俊憲栗栖 薫有田 和徳岐浦 禎展山崎 文之渋川 正顕大庭 信二木矢 克造
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2001 年 10 巻 10 号 p. 682-687

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抄録

解離性脳動脈瘤は, 画像診断の進歩に伴って, 近年注目を集めている疾患の一つである.今回われわれは水泳中に虚血症状で発症し, 経過中にクモ膜下出血をきたした椎骨動脈解離性脳動脈瘤を経験したので報告する.症例は57歳女性で, クロールで水泳中に右後頚部痛で発症した.保存的加療を行っていたが, 発症翌日にはWallenberg症候群を呈し, 脳血管撮影にて右後下小脳動脈(PICA)より末梢の椎骨動脈解離性脳動脈瘤と診断した.虚血発症であったため, 保存的に加療を行ったが, 経過中にクモ膜下出血を起こし, 最終的に開頭してPICA分岐部の遠位側でクリップによる閉塞を行った.術後の脳血管撮影では, 稚骨動脈頭蓋外部分(V3)から閉塞が認められた.後方視的な検討では, 発症時の脳血管撮影で頭蓋外での解離の起始が疑われた.本症例では, 発症機転をより重視して推骨動脈頭蓋外部分の病変を早期に発見するように努力すべきであったと反省させられた.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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