2002 年 24 巻 4 号 p. 413-421
ヒトゲノムが解析された現在, ゲノム中の300万-1000万個所に存在する遺伝子多型の組合わせが個人差の成因の一つだと考えられる. 遺伝子多型の解析は, 患者個人個人に適したオーダーメイド医療や健常人個人個人に則した疾病発症予防に有用であり, 「遺伝子多型の解析などの事実に立脚した予防」は EBP(Evidence Based Prevention)という概念で捉えることができる. 本稿では EBP の一例として cytochrome P450(CYP)2E1酵素多型の代謝的活性化と肺癌リスクについて概説し, SNP(Single Nucleotide Polymorphism)について解説した. また, SNPのひとつである CYP2E1酵素多型の種類と肺癌リスクについて現在までの報告と我々の研究結果を比較し, 肺癌患者における CYP2E1酵素多型別生存率を検討した. さらに, SNP 研究の EBP への応用の可能性を考察した.