2014 年 36 巻 1 号 p. 11-16
乳酸クリアランスと心停止症例の死亡率低下との関連が報告されているが,心停止蘇生後の症例における神経学的転帰との関連は明らかではない.今回我々は2006年4月から2012年3月まで産業医科大学病院へ搬送された心室細動誘因心停止症例で,低体温療法を実施した13症例(男性11名,女性2名)の乳酸クリアランスを算出し,神経学的転帰良好群7名,不良群6名の2群に分類し比較検討を行った結果,来院8時間後乳酸クリアランス,来院24時間後乳酸クリアランスは2群間で有意差を認めなかったゆえ,乳酸クリアランスのみで,心室細動誘因の心停止症例の神経学的転帰を予測することはできないことが示唆される.